いつかのブログに、学生時代のドイツ滞在中、半年程で10キロ太ったことを書きました。
この激太りの最大の原因は、先述したように甘いものを際限無く食べていたからに間違いありません。
それに加えて、滞在中は結構な頻度で外食をしていたことも良くなかった。ドイツに住んでいる方、またドイツに来られたことがある方はご存知かと思いますが、この地のレストランやカフェで取る食事はボリューミーかつ高カロリーです。お肉はお皿いっぱい、覆いかぶさるように拡がる大量のポテト、それに付け合せのサラダ。そんな構成の一食を、ドイツに来た当初はとても食べきることができませんでした。
そして1年後、恐ろしいかな、それをペロッと食べきる自分がいました。それどころか、これにさらにデザートを付けていました。
ちなみに、ドイツではお馴染みのWienerschnitzel mit Pommes (ウィーン風カツレツ、フレンチポテト添え)。薄く延ばした肉(多くは豚肉)を揚げたもので、日本だと「とんかつ」にたとえられることが多いものです。揚げたお肉が一皿分400kcalから500kcal、ポテト450kcalがそれに加わります。つまり、一皿で1000kcal弱、ということになります。*1
ピンと来ない方に。あの牛丼屋さんの並盛が669kcalです。*2
ここで何が問題になるかというと、日本人とドイツ人では、一日に必要とされるエネルギー(カロリー)が違うことです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2015)*3によると、30歳から49歳の女性で(参照体重53.1kg)、身体の活動が「ふつう」レベル(「座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む」、PAL=1.8)の場合、一日に必要とされているエネルギーは約2,070kcal。男性の場合は、同じ条件で(参照体重は68.5kg)2,754kcal。
ドイツ人の場合、25歳から51歳の女性で身体活動が同じ条件の場合、推定エネルギー必要量は2,400kcalです。男性の場合3,000kcalです。*4
この違いを生み出すのは、「基礎代謝」量の違いです。「基礎代謝」とは、安静・空腹時、室温20℃前後において、体が消費するエネルギーのことです。体は動いていなくても、私たちの内臓は絶え間なく働き、エネルギーを消費します。この「基礎代謝」は、年齢や性別の他、気候(寒暖)やストレスの有無に左右されます。計算式は
1kcal × 体重㎏ × 24時間
つまり、体重が数値に直接影響します。
周りを見て下さい。ドイツ人、大柄ですね。体格が違うということは、消費するエネルギーも当然違います。もし私たちが、ドイツにあるものを、ドイツ人以上と同じように(またはそれ以上に)食べていれば、当然太ります。
ドイツ人の食生活も多様化していますし、外食したとしても典型的なドイツ飯を食べる機会はそれほど無いでしょう。それでは、出先に大体どこにでもある、お子さまが大好きなあの場所 -- ファストフードは、どうですか?
ファストフードチェーンは日独同じ企業が店舗を展開していることが多いのですが、商品の大部分はローカライズされていて、両国で名前も味も同じ商品の数はごく少数。ほとんどが「現地のニーズに合わせて」開発されている商品です。それら商品のカロリーにも違いがあるのでしょうか?
比べてみました。あの世界的チェーンのハンバーガーの日独カロリー比較です。*5*6
日独両社のウェブサイトをチェックした2017年8月31日時点で、そこに紹介されているすべてのハンバーガーはドイツでは24種類、日本では23種類。商品により使用する材料が違うため、当然カロリーは様々です。全商品のカロリーの平均は
ドイツ 562 kcal
日本 440 kcal
です。
約120 kcal違います。日本の朝のメニューにあるハッシュドポテトが130 kcalですので、これくらいの違いです。
ちなみに、ドイツの商品で一番カロリーが高いものは「Bxx Txxxx Bacon BBQ」で、堂々の960kcal。日本は「メガ○ック」で736 kcal。驚きなのは、ドイツでは全体の63パーセントに当たる15商品が500kcal以上、一方日本は90%ほどが500kcal以下です。下のグラフは両社の商品をカロリーが高い順に左から並べたグラフです(商品名はご想像下さい)。黒はドイツの商品で、赤は日本の商品。左半分(カロリーが高い)は圧倒的に黒が多いですね。ドイツの商品を軒並み高カロリーにしているのは、名前を見る限り、ベーコンとチーズのようです。
ここで、上述した日本人の一日のエネルギー必要量を思い出してみます。日本人女性の場合、2,070kcalでしたね。一番カロリーが高いハンバーガーをひとつ食べると、それだけで一日に必要な摂取エネルギーの約半分をまかなってしまうということです。
お店に入る前に、自分は日本人なんだ、ということを思い出したほうが良さそうです。
<以下参考にしました>
*1 https://www.gutekueche.ch/wiener-schnitzel-rezept-170
*2 株式会社 吉野家
https://www.yoshinoya.com/
*3 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
*4 Deutsche Gesellschaft für Ernährung
http://www.dge.de/
*5 McDonald's Deutschland LLC
https://www.mcdonalds.de/
*6日本マクドナルド株式会社
http://www.mcdonalds.co.jp/
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