先日、娘の通う幼稚園のクラスで、“Internationales Frühstück“=インターナショナル ブレックファストという催しがありました。そのクラスでは数か月に渡り「私が住んでいるところ」というプロジェクトに取り組んでいました。自分が今住んでいるところ、友達が住んでいるところ、自分の親が育ったところ、などをみんなで地図を広げて見てみたり、実際に友達の家を訪問したり、ドイツ以外の国の出身の親を招いて、育った国はどんなところなのかを聞いたり、といった内容です。そしてインターナショナル ブレックファストはその締めとして、各家庭の(朝)食の定番を持ち寄って、みんなで食べて楽しもう、という企画です。
今回だけでなく、親も参加する行事の時は、お菓子や飲み物を持ち寄ってみんなでわいわい楽しむことが多いです。事前に「持ってくるものリスト」が貼り出され、誰が何をもって来るのかを任意で記入することになっています。
この行事について聞いた時、私は考えました。何を持って行けばいいんだろう。日本食については、好き嫌いが分かれます。大好きな人もいるのだけれど、嫌いな人も多い。多くの人は食べ慣れていない。しかも相手は子ども。不慣れな日本の味をそう簡単に受け入れてくれるとも思えません。
参考にしようと思い、クラスの掲示板に貼ってある「持ってくるものリスト」を改めて見てみます。誰が何をもって来るのか・・・。その時点で記入されていたのは一件だけ。父親がアメリカ人という家族で、持ってくるものは「パンケーキ」。
うっ・・・強すぎるぜ、競合。パンケーキなんて、子どもウケ必至。これだけが大人気で、我が家のものは誰も食べてくれないとなると、ちょっと悲しい。
こうして考えに考えた末、結局小さなおにぎりを持って行くことにしました。ただし、具は「インターナショナルバージョン」。噛み切れない恐れのある海苔を巻いたものや、何なのかよくわからないからか、意外と不人気なふりかけを混ぜたものは少しだけ。メインは子どもが好きで彩りのいいコーンとグリーンピースを入れたものにしました。
結果、30個作って、3分の2程がなくなりました。子どもたち、思ったよりも食べてくれたみたいで、安心しました。
パンケーキとおにぎりの他にも、テーブルにはたくさんの食べ物が並んでいました。ここはドイツですから、ドイツで食べられている朝食の定番が多くありました。小さなパン(Brötchen)、ブレッツェル(Bretzel)、ハム(Schinken)、チーズ(Käse)、クリームチーズ (Frischkäse)、ジャム(Marmelade)、ミュズリー(Müsli)など。
そして、そこで何とも存在感があったのは、忘れてはいけない、あの有名なヘーゼルナッツクリームです。大ビンが、でん、とテーブルの上に。
悩ましい肩だけお見せします。みなさんご存知ですよね。写真ボケててスミマセン。
これ、おいしいですよね~。私、大好きです。
でも、大好きだからこそ、このビンは我が家には「立ち入り禁止」となっています。なぜなら私が学生の頃、このクリームを食べ過ぎて、半年ほどで10kgも太った経験があるからです。
このクリームをパンに塗って食べると、幸せホルモンがどわーっと出るんですね。私の脳が喜んで、「もっとちょうだい~」って言う。そうすると、パンに塗る量はどんどん多くなり、終いにはパンに塗るのが面倒くさくなって、ビンからスプーンで直接すくってわしわし食べるんです。
そんなことを繰り返していると、10kg増量なんてアッという間です。当然体に悪いです。
これはヘーゼルナッツのクリーム(スプレッド)ですが、私を太らせたのはナッツではありません。ずばり、このクリームが含む糖分だと考えています。原材料(Zutaten)と栄養成分表示(Nährwertangaben)を見てみます。
まずは原材料から(https://www.nutella.com/de/de/naehrwertangaben)。
見てみると、まず最初に砂糖(Zucker)とあります。つまり、このクリームの製造に一番多く使われているのはナッツではなく、砂糖というわけです。
また、栄養成分表示では「炭水化物」(Kohlenhydrate)とその下の「そのうち、砂糖」(davon Zucker)に注目します。
ここで簡単に「炭水化物」と「砂糖」について説明します。「炭水化物」とは、「糖質」とも呼ばれ、糖で成り立っている栄養素です。「炭水化物」はその構造から、次の三つに分類することができます。
「単糖類」
「二糖類」
「多糖類」
〇「単糖類」に属する糖で、一番有名なのは「ブドウ糖」(Traubenzucker)です。薬局に子ども連れで行くともらえる、ラムネのようなタブレット。あれがブドウ糖。脳や神経細胞の大切なエネルギー源となります。
〇「二糖類」には「ショ糖」などが分類されます。「ショ糖」とは、ざっくり言うと家庭で料理などに使うお砂糖のことです。
〇「多糖類」には植物に含まれる「デンプン」が属します。
さて、ドイツの栄養成分表示には、「炭水化物」(Kohlenhydrate)と、その下に必ず「そのうち、砂糖」(davon Zucker)とあります。この場合の「砂糖」(Zucker)は、「単糖類」と「二糖類」の総量を表しています。
この製品の栄養成分表示です(https://www.nutella.com/de/de/naehrwertangaben)。
このクリームの場合、製品100g中、「炭水化物」全体の量が56.9g、その内「単糖類」と「二糖類」にあたるものが55.9g。つまり、製品に含まれる「炭水化物」のうち、ほとんどが「単糖類」と「二糖類」であるいうことです。
「単糖類」と「二糖類」は、「多糖類」に比べ、摂取した後に急激に血糖値を上げます。血中の糖(ブドウ糖)が増えると、インシュリンの働きで糖は速やかに細胞に運ばれていきますが、過剰な分は脂肪に変わります。つまり私は当時、血糖値をぎゅーんと上げる食べ物をたらふく食べていたわけです。特にこれといった運動をしていたわけでもないので、相当量が脂肪として体についたと想像できます。
私が10kg太ったのは、実際はこれだけではなく、(食)生活全体が良くなかったからだと思います。我が家には甘いものが好きな子どもがいます。このクリームが家にあれば当然食べることになるでしょうが、行き過ぎてしまうのがとても怖い。だから、私は、食べ過ぎないようにコントロールするのではなく、最初から買わない、家に持ち帰らない、と決めているのです。その方がストレスがありません。
ここで話をインターナショナル ブレックファストに戻します。周りの様子を見ていると、子どもを含め多くの参加者が、パンケーキにこのクリームをたっぷり塗って食べていました。間違いなくおいしい組み合わせです。でも、摂取する糖質はかなりのものになります。今日だけ特別、ならいいのですが、これが日常なのであれば・・・うーん。
炭水化物については、思うところがまだまだあります。こういうことを意識するようになったのは、妊娠時にいわゆる妊娠性糖尿病を患ってからです。これについては、機会があれば詳しく書きますね。
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