小学生男子が来たら、心頭滅却。

我が家の子どもたちが今よりもっと小さかった頃。車での移動中、後ろの座席で二人で大泣き、なんてことがよくありました。お腹がすいていたのか、何かに怒っていたのか。とにかく後ろで二人揃ってギャンギャン、ギャンギャン。気を取られていては、運転に集中できません。


そんな時いつも、私の頭の中には、いつぞや習った一文が流れていました。


心頭滅却すれば火もまた涼し。自分を無にするのだー。


最近になって、あの頃と同じこのことわざが、頭にふと浮かぶことがあります。それは、息子(小学1年生)の友達が遊びに来た時。


とにかくまぁ、ぎゃあぎゃあとうるさいこと、うるさいこと!家の中の移動も、常に全速力。永遠にドタバタ、ドタバタ・・・。君ら、なぜゆっくり歩けない!? 


さらに彼ら、いつも腹ペコです。育ち盛りですからね、それも当たり前です。そして、「お腹すいた~」の合図で、台所を舞台とするバトルが始まります。


無断で台所に入るやいなや、置いてある鍋を開けてみる。紙袋は叩いてみる。水筒は振ってみる。椅子を運んで来て、棚によじ登ろうとする。そうしてどこかに食べ物がないか、徹底的に探します。甘いものなんて見つけようものなら超高速で捕獲。あっという間に無くなってしまいます。


私はそこで、彼らが開けて欲しくないものを開けないか、触って欲しくないものを触らないか、戦々恐々としているわけです。


ちなみに彼ら、冷蔵庫は開けません。冷蔵庫には野菜など、特に興味をかきたてないものしか入っていないからでしょうね。


こう話すと、「しつけがなっていない!」となるのかもしれません。でもこれ、どうやら割と「普通」のようです。みんな、ほぼ例外無く台所に侵入してきます。


彼らももうそれほど幼くはないので、もし私が「ダメ~」と叫べば、台所荒らしを止めると思います。でも、物をわざと壊すわけでもありませんし、いろいろ荒らされたとしても、ま、もともと、片付いていない家ですからね。そう冷静に考えると「ダメ~」と叫ぶほどでもないのです。


しかし、思わずいちいち出そうになる「ダメ~」を飲み込む。ここが私の「心頭滅却」ポイントです。


日本ではどうでしょうか?ちょっと様子が違うかもしれませんね。


郷に入っては郷に従え。私もそれなりに対応しようではないですか。


息子の友達が来るとわかったら、すること。


① 甘いもの、食べられては困るものを隠す。

食べられたら残念、というのもありますが、特に甘いものについては、たんまりと食べさせてしまった、という罪悪感も持ちたくないですから。心の自衛策です。


② 果物や野菜はあるか確認。

こやつらお腹がすいているな、と思ったら、超高速スピードで果物や野菜を切って出します。見た目は気しない。ディップなど不要。こちらの子どもたち、ニンジンやきゅうりのスティックなどは意外とカリカリと食べるので、えらいものです。


③ パンやラスクなど、すぐに食べられる、腹持ちするもの(炭水化物)はあるか確認。

バターやチーズやハムなど不要!スライスして、そのまま出して可!


④ パスタやパスタソースなど、すぐに作れ、食事になるものがあるか確認。

食べても食べても腹ペコ男子。どうしようもない時、食事にはちょっと早い時間でも、親御さんからOKが出れば、食事にしてしまいます。


ここで注意事項。


〇 凝ったことはしない。

栄養のことを考えた、とか、手作り、とか、彩りとか、彼らは興味無し。手間をかけるだけ無駄!


〇 彼らが食べ残したら。

野菜にありがちです。先日来た子は、ビザの上のトッピング(パプリカ、トマト、コーン)を全部きれいにはがし、生地だけ食べていました。こういうのは、見て見ぬふりをして放っておきます。好き嫌いの克服や食べ残しのダメ出しは親御さんの役目と割り切る。多分彼も自分の家では、あれ食べろ、これ食べろと言われているはず。よその家に来てまで言われたくないでしょう。それに、気にしていたら私も疲れます。でも、栄養アドバイザーとしては失格でしょうね。


〇 彼らはこぼす、散らかす、食べながら走り回る。

「食べる時はここに座って」と食べてもいい場所を決めます。でも、いくら言ってもその通りにはなかなかなりませんし、家の中も汚れます。これは、仕方がない。後で掃除しながら、「掃除するいい機会になったわ❤」とポジティブに考えます。


彼らが帰った後に疲れ切ってしまっては、残念です。子育てや食に関しても、時には「こうでなければ」を忘れ、余分なストレスは排除して、できるだけ心穏やかに過ごす。そう心がけたいものです。


それにしても。こうして自由奔放に育った子どもたち、どんな大人になるのでしょうね。将来が楽しみです。

写真は、先日私が子どもたちのために切ったリンゴ。ご覧の通り、芯のところはまっすぐです。上からも下からもナイフを入れて、芯を無駄なく三角に取り除く、その時間さえ節約するとこうなります。ちょっと固いところが残ったりしていますが、それは見て見ぬふり。文句を言われたことは、今までに一度もございません。

ワタナベブログ

ドイツで思う食や栄養に関するギモンやフシギについて、ドイツ栄養アドバイザー・ワタナベと一緒に考えましょう。

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