幼稚園のお誕生日事情

私の住んでいるアパートには、私たちの他に、幼稚園から小学生の子どもがいる家族が多く住んでいます。最近は日差しも暖かくなり、冬はひっそりとしていた遊び場にも子どもたちの姿が戻ってきました。それに伴って大人の井戸端会議も復活です。


井戸端会議では幼稚園や学校のいろいろが話題になります。先週は、4歳のお誕生日を迎えた女の子のママ(ドイツ人)と、お家でのお誕生日会と、それから幼稚園に持って行くために焼いたケーキやマフィンの話をしました。量が多いし、デコるのも大変だった~、とのこと。


ドイツではご存知の通り、当日誕生日を迎えた本人が、幼稚園や学校、職場にお菓子などを持って行き、お祝いをする習慣があります。


大人の場合、自分でケーキなどを作って職場に持ってくる人も多くいますが、買ったお菓子を差し入れたり、宅配ピザなどを昼に配達してもらい、それを同僚に振る舞うなど、自分の都合に合わせてお祝いします。


そして子どものお誕生日の場合。私たちにとってはこれがなかなか大変です。何を持って行くのか考える時に、子どもの希望はもとより、母の理想、母のキャパ、そして幼稚園の都合にも配慮しなければなりません。幼稚園も2年目、3年目になるとだんだんと要領を得て来ますが、それでもみんな、それぞれ試行錯誤しています。


特に、ここで生まれ育ったわけではない私たちにとっては、幼稚園や学校の生活自体が未知のこと。それが誕生日ともなると、初めのうちはどうすればいいのやら、見当もつきません。


そこで、幼稚園でのお誕生日のお祝い用に用意する食べ物について、自分で経験したこと、また井戸端会議などで見聞きしたことをまとめてみることにします。この先ドイツの幼稚園に入園するお子さんがいる方の参考になれば幸いです。ドイツの幼稚園や学校の1年は夏に始まるので、ちょっと季節外れではありますが。


ただし、子どもも様々であれば、幼稚園や地域によっても習慣が違うかもしれません。「ウチの辺りは違うよー」という方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。とても興味があります。


さて、まず大前提ですが、これはあくまである習慣であって、絶対に何かを持って行かなければならない、こうしなければならない、というわけではありません。ドイツでは、できなければ、またはやりたくなければ「私はできません、やりません」とはっきりと言うことができます。これはドイツのいいところだと私は思っています。せっかくドイツにいるのですから、これを多いに利用して、無理のないようにしたいものです。


また、幼稚園やクラス(Gruppe)によっては、お誕生日はお祝いするけれど、食べ物は持って来ないで下さい、というところもあります。子どもの中には、アレルギーがある子もいますし、それぞれ家庭の事情もあり、持ってきたくても持ってこられない子がいる可能性もあります。それを考えると、「持って来ないでください」と言われた方が、わかりやすいですし、ありがたいですよね。


そして、お誕生日に食べ物を持って行くことが許されている幼稚園の場合、まず幼稚園や市町村で決められている衛生管理上の決まりを守らなければなりません。夏場は悪くなりやすいクリームを使ったお菓子や、ひき肉を使った料理などを避ける、マヨネーズなど生卵を使った食べ物は持って来ない、など。これは入園時に指示があると思います。


その上で、何を持って行くのかを考えます。私の経験や近所のママたちの話をまとめると、こんな感じです。


1) まずは事前に先生に相談を。

⇒ 誕生日の前に、食べ物を持って来たい旨を伝えます。クラスに何人いるのかを聞いて、数や量の参考に。クラスの子にアレルギーがある場合、それを考慮する必要がある可能性もありますので、それもチェックを。子どもたちの好き嫌いや、先生の都合もあるかもしれません。他の人はどうしているのか、思い切って先生に全部聞いてみると、安心です。


2) クリームたっぷり系よりシンプルな焼き菓子系。

⇒ 定番はやはり甘いものです。クリームたっぷりのケーキはおいしいのですが、小さい子どもには食べるのが難しく、また口の周りやテーブルの上が汚れます。フォーク無しで手でも簡単に食べられ、且つ汚れの少ないマフィンやドーナツの方が好まれるような気がします。


3) ホールよりマフィンなど個々に配れるもの。

⇒ ホールケーキは見た目はゴージャスですが、切り分ける手間がかかります。


4) 一つ一つは小ぶりでよし。

⇒ 自分に割り当てられた分を全部食べられない子がいます。食べる量や好き嫌いはいろいろですが、みんなが食べ終わるまで長い時間座ったまま、というのも、子どもにとっては苦痛です。幼稚園もそれほどの時間はとれません。


5) 甘いものである必要はない。

⇒ パンとチーズなど、軽食として食べられるものが好まれる場合もあります。特に2歳以下の子どもがいる保育園の場合(また幼稚園でも)、子どもに甘いものをあまり与えたくないことも。


6) 自作である必要はない。

⇒ 小さな子どもの場合、お菓子を手作りするかどうかでママを比較評価する、みたいなことにはなりません。そういうことに無関心な子も多いです。せっかく作っても、買ったものの方がむしろ喜ばれたりすることもあります。お子さんからどうしてもママの手作りがいい!というリクエストがなければ、買ったもので十分だと思います。また、最初から手作りをせず、ミックス粉などを利用して飾りだけ自前で、ということもできます。とにかく無理をせず、お誕生日を元気に迎えられるようにしたいですね。


7)おみやげ(Mitgebsel)。

⇒ クラスのみんなで一緒に食べるものではなく(またはそれに加え)、小さなお菓子をいくつか袋に詰めて、クラスの子どもたち一人ひとりに配る子もいます。中身はいろいろですが、子どもの年齢によってはキャンディーやチョコレートなどはあまり受け入れられないことも。定番はおなじみ、小袋入りのGummibärchen(グミ)やTranbenzucker(ブドウ糖のラムネ)。年中さんや年長さんになると、チョコレートバーや棒棒付きキャンディーが入っていることが多いです。


・・・こんなところでしょうか。繰り返しますが、これはあくまで私が経験したことや見聞きしたことをまとめただけのもので、絶対にこうでなきゃいけないわけではないです。少ーしだけでも参考になれば、とても嬉しいです。


よかったら、みなさんのところの様子も聞かせて下さい。


写真は、娘が4歳の誕生日に幼稚園に持って行ったマフィン。マフィン自体はミックス粉を使ってラクラク。飾りつけを本人と6歳のお兄ちゃんに任せました。実はその前年、やはりマフィンを作ったのですが、デコレーションに凝りすぎて疲れ果ててしまい、来年は楽する!と決めていたのです。ということで、今年はデコ前までは簡単だったのですが、これでもかとキラキラを載せようとする兄妹の暴走を制するのと、床に散らばったキラキラの後片付けで、母さんやっぱり疲れたのでした。

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